〇文庫「国家とハイエナ(上・下)」
(2016年10月刊行 2019年10月文庫化、黒木 亮著)
―あらすじ―
破綻国家の国債を二束三文で買い叩く「ハイエナ・ファンド」。
欧米で訴訟を起こし、勝訴判決を受けるやその国のタンカーや外貨準備、はては人工衛星まで差し押さえ、投資額の10倍、20倍のリターンをむしり取る。
ハイエナ達による強奪と権力者の汚職を阻止しようと、国際NGOが先進国や国際機関に働きかける一方で、金に窮してNGOからハイエナ・ファンドへ転職するメンバーが出現する。
ペルー、ザンビア、コンゴ、ギリシアを血祭りに上げたハイエナ達は、アルゼンチン政府と15年戦争に突入する。
日本では、ほとんど報道されていないその実態や欲望渦巻く国際金融市場の苛烈な闘いを制し、最後に笑うのは誰なのか?
―雑 感―
上下巻で約650ページ、下巻末には経済・金融・法律用語集あり。
時代は、1996年頃から2016年頃まで。
アフリカ・EU・米国・南米と物語のスケールが大きく、外国人作家さんの日本語訳を読んでいる印象。
それでもって、情報量も多いのでNetflxかアマゾンで連続ドラマ化して全世界配信して欲しい。
物語は、破綻国家VSハイエナファンドに発展途上国支援の国際NGO、登場人物の背景も描かれており面白く拝読した。
桁違いのコスト、場合によっては10年以上の争い、もっと別の方法でも稼ぐ方法があるように思うけどニッチ(隙間)だから、強欲に勝ち取ることができるのか。
それでもって、3者それぞれに立場・言い分があるのは十分わかるが、強いて言えばファンド側に1分の理があるかな。
難しい部分もあるが、知らない世界の話は本当に面白い。
ではでは。
12月7日付けで「クリスティナ・F・アルゼンチン副大統領が、過去の汚職の罪で禁固6年と公職永久追放(現職のため免職特権あり、上訴検討中)」とネットニュースで流れてた。