〇電子書籍「The Long Goodbye -長いお別れ- 」
(1953年発表、2007年3月新訳版、2016年1月電子版 レイモンド・チャンドラー著)
―あらすじ―
私立探偵フィリップ・マーロウとテリー・レノックスとの最初の出会いは〈ダンサーズ〉のテラスの外だった。
彼は、妻で億万長者の娘シルヴィアのロールズロイス・シルバーレイスの車内で酔いつぶれていた。
あり余る富に囲まれていながら、男はどこか暗い蔭を宿していた。
何度か会って杯を重ねるうち、互いに友情を覚えはじめた二人。
しかし、やがてレノックスは妻殺しの容疑をかけられ自殺を遂げてしまう。
その裏には哀しくも奥深い真相が隠されていた。
ー雑 感ー
「私立探偵フィリップ・マーロウ」長編シリーズ第6/7作目、村上春樹氏訳。
3作目の「高い窓」に続いて拝読。
「高い窓」でわかってはいたが、序盤に「~舌の上では今や、一匙のアイスクリームだって溶けずに残りそうである。」という言い回しにぶち当たる。
発言した人物の気持ちを考えろという問題か。
とグチりながら、本作もこんな感じで進むのかぁと少しゲンナリする。
しかし、慣れたのか、無意識に読み飛ばしているのかどんどん読み進めていく。
が、中盤の「彼女はカスタードのように物静かだったが~」で止まってしまった。
あぁ面倒くさい。
考えるな、感じろ!
すぐ来いの念押しで「途中で寄り道して花を摘んだりするなよ」という平易な言い回しにホッとする。
真相が語られてそこで終わりではなく、さらに物語は佳境に。
厭世的で破滅願望があるように思える主人公、模倣されないためのオリジナリティ、素晴らしい。
ではでは。
必要なのである巻末の訳者解説が、思った以上に長く萎える。