〇文庫「非国民(上・下)」
(2003年4月刊行、2005年4月文庫化 約840ページ 森巣 博著)
―あらすじ―
「薬物依存」からの更生を目指す者たちが共同生活する施設『ハーフウェイ・ハウス・希望』。
そこでは、不道徳な個性豊かな面々が「強制」と「義務」のない日々を過している。
しかし、施設の運営費が乏しくなったことから、その資金捻出のためにカシノへ、、、。
一方、一般市民を恐喝し、押収した麻薬を売りさばく悪徳警察官たち。
彼らは、稼いだ小遣いをカシノで溶かし、さらには借金、そしてその返済にも窮する始末。
その悪徳警官たちから理不尽な目にあわされた『ハーフウェイハウス・希望』の面々は、奴らたちへの仕返し、新天地オーストラリアでの生活のため、大勝負に挑む!
―雑 感―
文庫本での上・下巻であるが、それぞれが結構分厚い。
本作にも著者による「あとがき」はない。
同著者の私小説的な物語を多く読んだが、本作は小説的なアプローチ。
薬物依存を乗り越えるためには『「すべてが許される明日を夢見て、つらい今日を耐える」。
でも、どうしようもなく、追い詰められたのならやって(スリップして)もいい。
そして、また「すべてが許される明日のために、今日を耐える。忍ぶ。打たれ越す。」』は、日々生活していく中での心構えとしても、、、スゲー。
一方、故あって不穏当な人物に成ってしまった国家組織の一員が、もっと下品で下衆な国家組織の一員を調査すること。
そして、一緒にダラダラと堕ちていく。
その国家組織の一員どもが陰湿で、ロクデナシで、ムカムカする。
終盤は、他著と同様にシンプルな勝負でコトが決する。
が、公認だけど「非」合法だから、ちょっと「仕事」も組まれてる。
含蓄あるし、面白いなぁほんと。
ではでは。
二度と戻らぬ ジゴクラク 蜂起 無境界家族 非国民(上・下)