〇文庫「ジゴクラク」
(2002年6月刊行(文庫) 約280ページ 森巣 博著)
―あらすじ―
‘90年代初頭、博奕を生業とする「わたし」は、赤坂の非合法賭場でバカラの魔力にはまり込んだ不思議な美少女「舞ちゃん」と知り合う。
毎日十万円ずつを勝負卓上で溶かし続ける少女の負けは、一千万円にも達した。
逆張りで稼ぐ「わたし」に、少女は最後の勝負への協力を依頼する。
―今晩だけ、今晩だけで結構です。わたしに逆張りを仕掛けないで下さい。ー
その最後の勝負で、少女が見せた放恣(ほうし)の乱舞打ちは、見ている者の息を詰まらせた。
冬休みを利用して、少女はオーストラリアへやって来た。
少女が願うまま「わたし」は、賭博とセックスの集中講義を施す。
そして、赤坂での怨恨を引きずる芸能プロ代表との大バカラ勝負が始まった。
美少女は、また舞うのだろうか?
―雑 感―
文庫と書いたが、正しくは1ページ2段組の新書(ノベルズ)サイズ。
でも、スイスイ読める。
非合法賭場に高級官僚が出勤しているのも腐敗しているが、上級国民と思われる少女が自ら通う状況はどうなんだろう?なんて「節」を思いながら、、、まぁ、政治が悪いのか。
掲載誌の発注だろうが、少女とのくだりはなんて言うか中年のおっさんの夢想だね。
ファンクション(ファクト+フィクション)の後者?ですよね。
え、、、ぎゃぁ。
とはいえ、経験則に基づいたバカラ、ブラックジャック等々のゲーム展開がつまらないはずがない。
勝負卓でたまたま同席する方々あるあるにもそうそう!と口元が緩みながら本作も楽しく拝読。
そして、本作にも他著に出没する有名人がカメオ出演。
ではでは。
ブックカバー裏の『「無帰属の志」を縦軸に、「ギャンブル体験」を横軸に綴られる、思索的かつ明晰な文章で注目を集める「不純文学」の鬼才。』が端的な著者紹介として素晴らしい。
でも、生意気ながら「ギャンブル体験」より「常打ち賭人の経験」の方がより相応しい。