〇文庫「無境界の人 -boundless being- 」
(1998年10月刊行、2002年2月文庫化 約280ページ 森巣 博著)
―あらすじ―
「日本」とは何か。
「日本人」とはいったいどういう存在なのか—-。
オーストラリアを舞台に、お互いの存在に決して手が届かないと知りながら手を差し伸べあう博奕打ち、ヤクザ、そしてその恋人の哀しい愛の物語。
「希望」の真の意味を知る者たちが最後にたどりついた「無帰属の志」とは?
世に溢れる日本人論の幻想を見事に打ち砕く痛快不純文学。
―雑 感―
本作は、1990年代前半の著者とやっちゃんのお話。
他著もそうであるが個人的に知的好奇心が高まらない、著者曰く偉そーにご高説いただく部分(章)は読み飛ばした。
でも十分面白い。
本書も「慣れればならず、しかし、慣れてはならず」など禅問答のような徳を積んだ者でないとひり出すことができない示唆に富む言葉の大放出。
フニャフニャからビシッと起立、そういうもんなんだろうなと納得・同意の筆回し。
そして、希望はあるものの「現れては去って行く」ロードムービーのような少し侘しいフィニート。
ではでは。
二度と戻らぬ ジゴクラク 蜂起 無境界家族 非国民(上・下)