〇文庫「セクスペリエンス -SEXPERIENCE-」
(2002年11月刊行、2006年2月文庫化 約290ページ 森巣 博著)
―あらすじ―
傷つけられるだけの人生はもうたくさんだ。
カシノで出会いをきっかけに男に蹂躙された女子大学生フランは、耐えがたい苦しみを乗り越え心に誓った。
大学でも職場でもセクハラはやまない。
フランは、そんな卑劣な男たちに反撃を開始する。
女ゆえに傷つけられるなら、女であることを武器に。
狡猾なやり口を逆手にとった戦術で、彼女は立ち向かっていく。
―雑 感―
同著者の他文庫に比べ、文字ポイントが小さい。
まぁ、見え(読め)るけど。
女性解説者による巻末の「解説」はあるが、著者による「あとがき」がない。
本作には男(著者)が書く「あとがき」は不用ということか。
物語の冒頭は、賭け事によりもたらされる「幸/不幸」の性的興奮から。
そして、それは不幸の訪れの方がより強調されている。
(精神の危機的状況を緩和するため、多幸感を与えるドーパミンがより多く分泌されるような、、。)
フランは、その不幸の訪れにより己を売ることを承諾し、一夜限りのはずが一時的にその男に依存してしまう。
奈落から自分の欲求をシンプルに満たすために行動し、地位等を獲得していく様が明るく感じるのは舞台がオーストラリアだからだろうか。
また、嫌悪感を抱く野郎どももいい(肉体派の頭カラッポは除く)。
終盤に登場するカメオ出演の素性の妖しい東洋人から、アドバイスを受けたスリーカードバカラで嫌悪感マシマシの相手を叩く、さらに叩く。
そして、あの男に自ら掴み取った圧倒的優位性を見せつけ、去って行く様はスカッとする。
ではでは。
二度と戻らぬ ジゴクラク 蜂起 無境界家族 非国民(上・下)