〇電子書籍「世紀の空売り -世界経済の破綻に賭けた男たち- 」
(2010年9月発表、2013年3月文庫版、電子版 マイケル・ルイス著)
―あらすじ―
世界中がアメリカ発の住宅好況に酔っていた2000年代半ば。
そのまやかしを見抜き、世界経済が破綻する方に賭けた男達がいた。
大手投資銀行と格付機関の裏をかき、アウトロー達はいかに「世紀の空売り」と呼ばれる大相場をはったのか。
2008年に発生した世界同時金融(サブプライムローン)危機の実相を描くノンフィクション。
―雑 感―
2023年3月上旬、米国内3銀行(シリコンバレー、シルバーゲート、シグネチャー)が破綻・自主廃業・事業停止。
同月中旬、数年前から経営不振であったクレディスイスをUBSが救済合弁。
次の懸念先として、ドイツ銀行が噂に。
こんな環境なので、前から気になってた映画「マネー・ショート」を観て、原作本となる本書を拝読。
2008年に発生した「低所得者向け(サブプライム)住宅ローン」の”債務不履行(デフォルト)”を予測し”CDS(クレジット・ディフォルト・スワップ)”を空売りしていた3つのグループ。
独立系投資ファンド運営者のマイケル・バーリ。
大手投資銀行の軒を借りる投資ファンド運営者のスティーブ・アイズマンとそのチーム。
個人投資家のチャーリー・レドリーとジェイミー・マイ&元大手投資銀行トレーダーのベン・ホケット。
そして、ドイツ銀行の営業マンでCDSの空売りを機関投資家に売り込むグレッグ・リップマン。
各人の人となりや心情、サブプライムローンがいずれ破綻すると分析した理由等を各人の目線を通してしっかり描かれる。
CDS等の専門的な説明は難解だけど、理解できなくてもサブプライムローンがデタラメで、ウォール街の一部が強欲に稼ぐため手段だったというのがよくわかる。
結局、2008年の金融危機を収束するためには、税金で大投資銀行が救済するしかなかった。
米3銀の取り扱い、UBSによるクレディスイスの救済合弁が迅速に行われるのは、直接税金を投入しないで処理をしているというのが、本書を読んでよくわかった。
ではでは。