〇電子書籍「アンダードッグス」
(2020年8月発表、2023年9月文庫・電子版 長浦 京 著)
―あらすじ―
1996年末、元農水省官僚の証券マン”古葉 慶太”は、香港の顧客”マッシモ”からある計画を託される。
それは、中国返還直前の香港から密かに運び出される国家機密を強奪せよというものだった。
かつて、霞ヶ関を追い出された古葉は、逆襲の機会とばかりに香港へ飛ぶ。
だが、彼を待っていたのは、メンバーとなる“負け犬”たちと計画を狙う”各国の情報機関”だった。
策謀渦巻く香港を“負け犬”たちは、裏切るか?見破るか!?
コンゲーム(欺し合い)が駆け抜ける!
―雑 感―
素直に面白く拝読した。
映像化して欲しい。
でも、なんで元農水省職員?
巻末の解説を読むとその意味がわかるけど、研修留学2年で英語を話せる設定にするなら、その間に危機管理(インテリジェンス?)も少しだけ学んだとかを数行加筆して欲しかった。
本内容なら主人公のイメージは、元公安調査庁、元警察庁、元外務省、元キャリア自衛官。
物語は1990年代後半が大半だけど、2010年代後半の物語も適宜語られる。
重要だけど適宜語られる物語にわざわざパーソナル障害と幼少期の大病のふたつの設定は不用。
シンプルに大病の影響が今だに多少残っている体裁で物語は進めることができると思う。
あと終盤の展開が都合良すぎると思うけど、それらを気にしないほどエンターテイメント小説として面白く読んだ。
ではでは。
タイトルは、本文中にある「ブラッドスポーツ -競わされる犬(たち)- 」の方がいいと思う。
長い台詞だけど「彼は本当に何もできない ~ でも、何もできないからこそ、他人を頼り、教えを乞うた。一切の虚勢を張らずに。そして見返りを惜しみなく与えた。だから、~ 力を貸すことにした。」は響いた。